低炭素化社会における駐車場付置義務の意味を問う

 7月7日から開催される洞爺湖サミットでは、地球環境問題が主たるテーマとされており、6月9日に福田首相が発表した福田ビジョンでは、2050年までの日本のCO2排出量削減の長期目標について、「現状から60~80%の削減を目指す」とし、注目された2020年の中期の数値目標については明言しなかったものの、「05年比14%の削減が可能」と述べ、排出量取引の国内統合市場の創設など、低炭素化社会の明確な一歩を踏み出したと言えよう。

 ところで、私が現在携わっている、S団地の建替えプロジェクトでは、建替え後の団地の駐車場の設置について、大変困った状況が発生している。というのは、その団地が所在するT市の条例では、その団地のエリアについては、新設する分譲マンション1戸あたり1台の駐車場を設置することを義務づけているからである。建替えにより約470戸の住宅が建設される計画なので、これに従えば、約470台の駐車場を設置しなければならないわけである。こうした駐車場付置義務制度は、T市に限らず、路上駐車の増加などの問題に対応して、昭和50年代ごろから全国の大半の自治体で施行されてきたものである。確かに、かつての人口増加時代には、駐車場付置義務により、駐車場問題を事前に解決する社会的ニーズが存在したのである。しかし、現在は人口減少時代に突入しており、07年の国内自動車保有台数も、06年よりも15万5千台減少するという史上初めての対前年割れを記録しているのである。加えて、昨今のガソリン価格の高騰や地球環境問題への関心の高まりなど、時代は明らかに車離れの潮流にある。

 こうした中で、S団地の建替えプロジェクトでは、市の条例のために、膨大な数の駐車場を計画せざるを得ず、地下駐車場や機械式駐車場など、駐車場の建設費だけで相当な負担となっている。折からの建設費高騰のあおりを受け、ただでさえ予算が足りない中で、建替え後の住宅1戸に1台の駐車場建設費は、住民の経済的負担を増加させる要因のひとつとなっている。住民(区分所有者)の多くは高齢者であり、そろそろ自動車の運転もやめようかという年齢に達しており、自動車の保有率も徐々に下がっている。市の条例に従って駐車場を整備した場合には、その多くが空いてしまい、建替え後の管理組合の経営悪化の一因となることは、火を見るよりも明らかなのである。まして、低炭素化社会への転換がわが国全体の大きな目標となる中で、自動車の増加を前提とした駐車場付置義務は、もはや時代錯誤の政策と言ってもいいのではないだろうか。これは、道路特定財源を前提とした道路整備中期計画の愚に通じるものであり、そろそろ、抜本的な見直しが必要な制度であろう。低炭素化社会の実現を目指すのであれば、カーシェアリングの推進や、住戸1戸に落葉高木1本といった、「植樹付置義務」を課す方が、はるかに時代にあった政策と思われるのだが、いかがであろうか。

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  1. Windcarの須賀原信広と申します。
    ウインド・カー(株)はカーシェアリングを事業とし、北海道の札幌の小さな会社です。
    突然コメントする事をお許し下さい。

    貴氏が提起された「駐車場付置義務」のご意見に全面的に賛同いたします。

    弊社が推進するカーシェアリング事業に於いて、最大の懸案事項は好立地のステーション確保です。すなはち駐車場です。
    苦労して探している内にこの問題でマンション管理会社、デベロッパー、住民が突き当たっていることを知りました。
    弊社が展開する札幌市の中心部域(我らが喉から手が出るほど欲しいエリア)の既存マンションの駐車場が大幅に余ってきている、それも急激なスピードで加速しているようなのです。
    あるマンションでは、60台以上の駐車場スペースが空いているが、付置義務継続のために、無駄な土地を借りているのです。
    驚くべき事で、その料金は住民の共益費で賄っているらしいです。
    「その余った駐車場にカーシェアリングを置いて下さい。最近急減している入居率のアップ、現在住民の方々への大きなサービスとなります。」との申込に、当初私達は喜びました。
    しかし、カーシェアリング導入によって、そのマンションでは更なるクルマ離れが明確になり、ひいては駐車場余りを加速してしまい、更に無駄な駐車場料金を抱えなくてはいけなくなる。
    カーシェアリングを導入する事は益々首を絞めてしまう。
    こんなバカな結果が出てしまうのです。

    例えば、カーシェアリング車輛を1台導入する事で、10台分の駐車場付置義務緩和を与える等の施策ができれば、都心部域での自動車絶対台数削減、渋滞緩和、CO2削減、そして無駄な駐車場スペースを住民の為の有効な土地として利用できるという、素晴らしい効果が得られます。

    如何お考えになりましょうか?

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