住宅着工数100万戸は不況のバロメーターなのか?

 2007年度の住宅着工数が、4月30日に国土交通省から発表された。それによると、前年度比19.4%減の103万5598戸と、40年ぶりに110万戸の大台を割り込み、減少幅は、1974年度の28.5%減に次ぐ過去2番目の下げ幅という。これは、いわゆる耐震偽装問題を契機とする昨年6月施行の建築基準法改正により、建築確認手続きが厳正化された影響や、最近の建築資材の高騰の影響によるものという。確かに、建築基準法の「改正」は、現場の実情を無視した杓子定規な規制強化であり、運用面の是正はみられるものの、今後の建築行政に大きな課題を残した。建築資材の高騰の影響も、特に、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の建物の建築費に多大な影響を与えている。

 しかし、建築着工数が100万戸近くまで減少したことが、果たして、住宅不況のバロメーターと言えるのだろうか。ここに、面白いデータがある。米国、イギリス、フランス、ドイツ、日本の5カ国について、2004年の住宅着工数を同年の人口で割った数値の比較であるが、人口千人あたりの住宅着工数は、米国6.7、イギリス3.8、フランス5.8、ドイツ2.5、日本9.3であった。2004年の日本の住宅着工数は、118万9049戸で、近年のごく平均的な数値であったが、人口千人あたりでみると、当時住宅ブームのまっただ中にあった米国の1.4倍の着工数であり、フランスの1.6倍、イギリスの2.4倍、ドイツの3.8倍という驚くべき数値である。

 わが国の人口は、すでに2004年12月をピークに減少に転じており、また、平成15年住宅・土地統計調査によれば、総世帯数4726万世帯の1.14倍に当たる5389万戸の住宅ストックがあり、住宅自体は余っている状態なのである。こうしたことから、わが国の住宅着工数は、徐々に他の先進国並みに減少していくことが自然な姿なのではないだろうか。米国並みの人口千人あたり6.7戸の水準まで下がっても、100万戸割れどころか、約85万戸の水準にまで減少するのである。

 住宅業界、建築業界も、そろそろ住宅着工数に一喜一憂し、国の景気刺激策を期待するのではなく、ストック時代を見据えた産業構造への自立的な転換を真剣に考えるべき時期なのではないだろうか。

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